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人事賃金制度と社員面談

よくある人事賃金制度の問題点

社員数が数十名以上の会社には人事賃金制度があることが多いものですが、皆さんの会社ではいかがでしょう。私はよく、経営者の皆さんとこんなやり取りをさせてします。

山口 「人事賃金制度はどんな目的で作られたんですか?」
経営者 「賃金や賞与を公平に分配するため」
「賃金や賞与の決め方の納得度を高めるため」
「わかりやすい仕組で社員にヤル気を出してもらうため」
山口 「人事賃金制度は思ったように機能していますか?」
経営者 「うーん、どうだろう」
「まずまずじゃあないですか」
山口 ・・・・・

よくある人事賃金制度の手順の落とし穴

多くの企業でおこなわれているのは

  1. 1.細かい評価シートで社員が自己評価←おこなわない会社も有り
  2. 2.管理職が部下を評価
  3. 3.役員・社長が修正し、合計点から金額決定

・・・部下にも上司にも、評価結果は知らされない・・・

このようなやり方のようです。けれどもこれでは、「人事賃金制度を使う」が単に「評価シートで点数を決める」だけに終わってしまっているのではないでしょうか。
まず「公平」であるためには、一人ひとりの見方の違い、基準の違いを明らかにし、お互いに納得がいくまで説明する、話し合うことが必須です。

そして「納得度を高める」ためには、まず評価の結果を本人に知らせること、そしてそれだけではなく、本人の意見も聞きつつ、なぜ会社がそのように評価したのかを説明し、本人にその評価を受け入れてもらうこと。

つまり、『× 説得』ではなく『○ 納得 (理解+受け入れる気持ち)』 が重要です。経営者や上司はついつい部下に対して「説得」をしようとします。説得は上司にとっては成果と感じられるかもしれません。けれど部下には「押し付けられた」というモヤモヤ感が残りがちなのです。

評価結果を納得してもらう為に

では、説得ではなく納得してもらうためにはどうしたらよいのでしょうか。この「公平」を期すための話し合い、「納得度を高める」ためのやりとりの場が、「社員面談」なのです。
そして、ましてや「社員をヤル気にさせる」ためには、社員面談での上司の承認や励まし、アドバイスが大きな原動力になります。

人事賃金制度の目的

一言で言えば、人事賃金制度を使って管理職と社員を成長させること、そう考えています。
つまり、「どうだったのか」と過去を振り返って終わり、ではなく、今どうだからこれからどうする事が必要か、を省み、将来に向けて活かしていくということです。この「今後に向けて活かす」という部分があってこそ、人事賃金制度は本当に会社にとって意味のあるものになるのです。

年功主義であれば、1年経てば賃金がいくら上がる、毎年どうなるかがわかりやすいもの。けれど今多くの会社で採用されつつある実力主義は、その仕組自体も、評価基準も複雑でわかりにくく、社員の納得が得られにくいのです。そのうえ、成果主義の反省から、単に結果だけを見るのではなくそのプロセスも評価しようとすれば、余計に評価基準もわかりにくくなり、納得が得られにくくなってしまうものなのです。面談での話し合いが、お互いの納得、社員の成長には不可欠です。

人事考課を今後に向けて活かす

それでは、なぜ社員面接をすることで「人事考課を今後に向けて活かす」ことができるのでしょうか。

人事賃金制度の中には、必ず「評価の基準」が示されており、その「評価の基準」=会社が社員に求めているもの、になっているはずです。となると、必要なことはいかにその会社の求める基準に近づいてもらうかです。そのためにまず必要なことは、

「今何ができていて何が不足しているのかが明確であること」

なのです。ところがもしも会社から見て社員が必要なことをおこなっていないのもかかわらず「自分やっている」と思い込んでいるとしたら・・・。また、そもそも「必要なこと」の解釈が違っていたとしたら・・・。そのままでは今後その社員が会社の望む社員になってくれることは難しいでしょう。

面談で社員に会社の評価(何を認め、何をもっとして欲しいか)を伝える、そこで社員の自己評価や会社の求めるものについての解釈が間違っていないかの確認をする、それが社員の成長のきっかけになるのです。

社員一人ひとりを必要な人材させる

もっともそれ以前の問題、つまり「社員に、何を評価しているかが知らされていない」「評価の基準が理解納得されていない」といった状況であれば (これが案外多いようですが)、まずここから、つまり評価基準をしっかり理解してもらうところからはじめましょう。そして、部下の考えを聞きながらも上司としてのアドバイスを加えて部下のやるべきことを明らかにしていく、そう、まさにここが上司の存在感のみせどころです。